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朝日新聞 平成19年7月26日 朝刊
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蚊帳と言えば、網戸がなかった時代、家に入る蚊から身を
守るためのものだった。マンション暮らしも増え、蚊を気
にすることが減るなか、用途が変わってきたようだ。
静岡県磐田市の寝具店菊屋。社長の三島治さん(51)は
96年、店のホームページで枕販売を初めた。「蚊帳はあり
ますか?」という書き込みがなぜか多くなった。
「クーラーの風邪に触れたくない」「子供がアトピーで
殺虫剤が使えない」という理由だった。そこで翌年から
蚊帳の販売に踏み切った。
どこから聞きつけたのか、全国の人が続々とサイトを見
に来るようになった。中にはアフリカに行く前の助産師
の女性から注文もあった。菊屋の新ブランド「菊紋和」
→ http://www.kikumon-nagomi.com/kikumon/
はワンランク上の商品で、今夏から売り始めた。生地か
らへり、つりひもにいたるまで本麻100%で仕上げた。

生地は、古くから遠州地方に伝わり、魚網にも使われて
きたカラミ織。風通しがよく丈夫だ。蚊帳は洗濯できな
いものだったが、これは洗濯できる。織りから縫製まで、
すべて地元産の手作り。三島さんによると、麻は余分な
水分を吸収してくれる。湿度が低くなり、この蚊帳の中
の体感温度は室温と比べて2~3度低くなるという。
蚊帳の中に入ってみた。生地越しの外の景色がかすんで
見えるからか、異空間にいるような感じがした。空気が
ひんやりしていて気持ちがいい。しばらく横になってい
ると心が落ち着きすーっと眠りに落ちた。
エアコンをつけたままで寝ると「体調が悪くなるかも」
と心配で、つけずに寝ることにしている。そのことを眠
りの専門家でもある三島さんに言うと「どんなに暑くて
も寝るときはエアコンのつけっぱなしは絶対にやめて」
と言う。
人は眠りに入ると体温が下がるが、冷房だと、必要以上
に下がってしまう。週間化すると生体リズムを崩し、
自律神経やホルモン分泌のリズムを壊す。
蚊帳をつり、エアコンの風を送り込み、涼しくなれば
エアコンを止め、そのまま眠るといいそうだ。
両開き式のベッド用もある。蚊が飛んでこない高層マ
ンションに住む人達も愛用する。かつては毎日かたづ
けたが、今は年中つりっぱなしの「万年蚊帳」の人も
多いらしい。
蚊帳の中が隠れ家みたいになり、ストレスにさらされ
た心が落ち着く安眠空間になるのだとか。
インターネットに寄せられる人々の声を反映して発展
し続ける現代の蚊帳。「家族で蚊帳の中に入って寝て
みてください。愛情が深まりますよ。心地いい眠りを
体験すると、心身共に健康になります」と三島さん。
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たいへんきれいに、文章をまとめてくださった朝日
新聞の山口恵理子さん、ありがとうございました。
おまけに下記のようなメモまで載せていただきました。
メモ
菊紋和は「心を豊かにする」と評価され、静岡県
主催の06年度グッドデザインしずおか奨励賞を受賞
した。
05年1月、パリであった国際家具見本市に三角すいの
蚊帳「KACOON」を出品。「中に入り込んでパリジェンヌ
が瞑想(めいそう)してました」と三島さん。
同年、店舗ちかくに「蚊帳の博物館」をオープンした。
昭和初期の嫁入り道具だった萌黄(もえぎ)色の蚊帳など、
いろいろな蚊帳を展示する。入場無料。
入手は東急ハンズだが、http://anmin.comからも可能。
写真は和室3畳用。8畳用まである。特注も受ける。
電話は0538・35・1666