日本の心
かって家族はひとつ蚊帳の中

睡眠の自然体
ガイア(地球)の声がきこえますか


 草深い奈良の西京に住む私にとって蚊帳は昔も今も必需品であると同時に私の夏の風物詩になりきっている。蚊帳の天井をながめるたびに数々の懐かしい思い出、父や母、兄弟、友人たちのことを思い出させてくれる。
 化学薬品で蚊を殺すのではなく、蚊の命をそこなうことなく自分の身を守る。
蚊帳は日本人の平和な心の象徴である。   
                          蚊帳と私  薬師寺管主 高田 好胤
                           (平成10年6月お亡くなりに・・・・)

茶道の心を伝導するとは、「憩」を与えること。今日の世相は煩雑で道義が薄れ、真の心の平和がどこかに行っているときにこそ求められるものである。
これと同様に生活の中での安らぎと安心感はなんと言っても寝るときの蚊帳の中。なに人にとっても寝やすいふとんと蚊帳があってこそ、その生活に最大の「うるおい」があるのではないでしょうか。              
                            茶道の心      裏千家 千 宗室

 十六畳の寝間いっぱいに萌黄麻の蚊帳が房付き唐糸の釣り手で高々とつられ、蚊帳裾の大幅の水色縮緬が、なぎさによる波のようにひろがる。玉の輿にのぼられるお万の方は、今宵はこの寝所で将軍家光とすごす。お万の方は行灯の薄明かりの透す蚊帳の中で端座される将軍の姿をいかほどたのもしげに見つめられれたことだろう。
蚊帳は何百年来、夏の大切な風物詩である。 
                            蚊帳の風情   作家 吉屋 信子



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