強い光を浴びることで生物時計の針をもとに戻す
人間の体には「生物時計」があり、1日を約25時間のサイクルで
くり返しています。この体内活動のリズムを「概日リズム」と呼びます。
この概日リズムはある程度前後にずらすことが可能で、
昼夜交替の仕事をしたり、時差のある海外に出かけて活動することも
可能になるのです。
しかし、そのようなことをすると当然、体に無理がかかります。
その例として最も耳慣れたものが「時差ボケ」といえましょう。
時差ボケは一時的な症状ですが、不規則な生活を長く続けていると
睡眠・覚醒のリズムに異常が生じ、昼夜のサイクルと体のサイクルが
合わなくなることがあります。これを「概日リズム性睡眠障害」といいます。
概日リズム性睡眠障害には「睡眠相後退症候群」という、
極端な夜型が定着してしまうタイプと、
「睡眠相前進症候群」という極端な朝方が定着してしまうタイプがあります。
また、1日24時間のサイクルと1日約25時間の概日リズムの調整がうまくいかず、
睡眠時間が少しずつずれていく「非24時間睡眠・覚醒症候群」も
概日リズム睡眠障害のひとつに数えられています。
概日リズム性睡眠障害の治療には、体内のリズムを整える働きがある
ビタミンB12の服用や「光療法」が行われています。
生物時計は寝起きに朝日を浴びることでリセットされますが、
こうした睡眠障害の治療にはこの性質を利用するのが光療法です。
たとえば睡眠相後退症候群ならば、起きられる時間の数時間前に
無理をしてでも起き、高照度光(2500ルクス以上)を1時間程度浴びるのです。
壁や天井に蛍光灯が設置された部屋に入って光を浴びたり、
電気スタンド型の光源から光を浴びる方法などがあります。
そうすることによって、概日リズムを前方に整えることを目指すのです。
反対に睡眠相前進症候群の場合は夕方の適当な時間に光を浴びせ、
リズムを元に戻すことを図ります。
この治療法は薬物を使うよりも副作用の心配がないのが特長ですが、
人によっては煩わしく感じられることがあるのが欠点です。
「もちろん、治療には一通りでなくその人に合った最適な方法があるはず。
睡眠障害は専門家による治療だけでなく、本人の生活習慣を改善するなどの努力も
必要です。
まず大切なことは専門医を訪れて診断を受けること。
これは概日リズム睡眠障害だけでなく、すべての睡眠障害についていえることです」
(井上雄一先生)
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